ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門で不動産ファンドの運用に従事し、独立後に総資産30億円を築いた小原正徳氏
まず問うべきは、何を重んじるか
では、都心でどうしても1億円の家を買いたい人が、ペアローンや50年ローンを使うのは危険なのか。小原氏の答えは意外なものだった。
「危ないという論調はありますが、僕はそんなに否定的ではありません。土地の価値は経年によって減価することはないんだから、融資がおりるなら借りてしまって、元金を全額返さなくてもいい、と思うくらいです。前職の不動産ファンドでは、元金返済のない融資がほとんどで、金利だけ払って、価格さえ下がらなければ出口を迎えられた。個人の住宅ローンでも、どこかで売る時に残債以上で売れる見込みが立つなら、返済期間が長くても、残価が設定されていても構わない。そんな選択肢があってもいいと思います。いわば、マンションのリセールバリューを考えるってことですね」
では、潮目の時代をどう生きるか。小原氏が「一つだけ重視するなら」と挙げたのは、物件でも相場でもなかった。
「不動産の方針を決める前に、自分の価値観を認識することです。何を重んじるかで、選択は変わる。住宅にお金を払いたくないなら、郊外へ出るしかない。コストを払ってでも都心の利便性に価値を感じるなら、払えばいい。昔、“男なら一国一城のマイホーム”でしたが、今は価値観が多様化して、それが許される社会になった。だからまず、自分の価値観と、何が可能で何が不可能なのかを見極めるところからだと思います」
その背景には、東京がいま世界の大都市に近づいているという見立てがある。
「世界のどの大都市も同じで、都心の真ん中に住めるのは、金融に携わるお金持ちか、リタイアした富裕層だけ。マンハッタンの内側がまさにそうですよね。普通に働く人は外側から通っている。日本の消費者物価指数に占める住宅費の割合は2割台ですが、世界の大都市は4割前後、ひどいと収入の半分です。インフレで日本がそのグローバル標準に寄ってきた結果、庶民が東京に住みづらくなった。その傾向は、今後も続くのではないでしょうか」
潮目の時代をどう生きるか。まず問うべきは、相場でも金利でもなく、自分が何を重んじるかが、問われる時代になってきているようだ。
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【はじめから読む→】「“暴落を待つ人”ほど、買えない」総資産30億円、ゴールドマン・サックス出身の投資家が読む“不動産の潮目”
【プロフィール】
小原正徳(こはら・まさのり)/東京大学卒業後、時給1000円の清掃バイトから投資家を志す。不動産鑑定士。EYグループ、ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門で不動産ファンド運用に従事し、2016年に独立。総資産30億円、純資産10億円を構築。「不動産アカデミー」を主宰し、延べ500名以上を指導。著書『世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方』(KADOKAWA)がAmazonアメリカの世界経済部門で1位を獲得するなど話題に。
世界の超富裕層がしている「最初の1億円」の作り方

