新築マンションの価格上昇が続き、実需層が手を出せる範囲は狭まりつつある(写真:イメージマート)
タワマンと聞けば、港区や江東区、品川区など湾岸エリアに林立する超高層マンションを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、東京都内には507棟(20階以上かつ高さ60m以上、2025年末時点。東京カンテイ調べ)が建ち、23区すべてと市部にも広がっている。数こそ少ないものの、足立区や葛飾区にもあり、超高層建築物への規制が厳しい世田谷区や杉並区、さらには東村山市や清瀬市にも建設されている。
こうして供給が広がるなか、マンション価格は上昇を続けている。不動産経済研究所によると、2026年上半期の首都圏の新築マンションの平均価格は前年同期比13.1%増の1億135万円となり、上半期として初めて1億円を突破。2年連続で過去最高を更新した。日銀の利上げに伴い住宅ローン金利が上昇局面にあるなかでも、高騰に歯止めはかかっていない。
では、都心から離れたエリアに建つタワマンは売れ残ったりしないのだろうか。今年初めには、板橋区のあるタワマンについて、「完成から数年が経っているのに夜になっても部屋の灯りがまばらだ」とSNSで話題になった。
「いや、都内のタワーマンションはほぼすべて売れていますよ。今のところ、売れ残ったりはしていません。その板橋区のタワマンにしても、デベロッパーがあえて強気の価格で売りに出し、すぐには売れないのは織り込み済みの戦略を採っていると考えられます。数年かけて販売するうちにマンション価格が上昇し、周囲の相場が追いついてくる。こうした販売手法は、いわゆる『売り惜しみ戦略』と呼ばれるもので、売れ残りではなく、あえて時間をかけて売っているのです」
そう話すのは、『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏だ。もっとも、そうした「売り惜しみ戦略」にも最近は変化の兆しが見え始めていると、榊氏は指摘する。
