新築市場で見え始めた変調は、時間差を置いて中古市場の相場にも波及していく(写真:イメージマート)
9月1日の20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、ベッセント米財務長官は日本について「今はリフレ政策をやめるべきだ」と述べた。その後、9月18日に日本銀行が政策金利を0.25%引き上げ、1.25%としたことを受け、大手銀行の住宅ローン変動金利にも今後、影響が及ぶとみられている。ただし、政策金利の引き上げが住宅ローンの適用金利に反映されるまでには時間差がある。
金利上昇が今後の不動産市場に与える影響について、『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏は「決して悲観すべきことばかりではない」と指摘する。住宅ローンの負担増は実需層にとって逆風に思えるが、買い手が減って物件が売れにくくなれば、値下げ圧力が高まる可能性があるからだ。
「東京23区内では、新築マンションの価格は住宅ローンで買える水準を超えていますが、そこへ金利の上昇が追い打ちをかけます。建てても高すぎて売れないので、デベロッパーは供給量を絞っている。都内でマンションを買おうと思ったら、必然的に中古になりますが、都心部の中古は新築に引きずられて値上がりし、こちらも実需層の限界に達している。買える人がいなくなれば、値下げするしかなくなります」(以下、「」内コメントは榊氏)
再販業者の苦境
「再販業者が相場1億円の物件を7000万円で買い取り、1000万円かけてリフォームし、9500万円で売ろうとしても、まったく売れない事態に直面しています。市場全体が弱含みになっているのです。なかには資金繰りに困っている業者もいて、月末までに1億円用意しなければならないとなると、『すぐに買ってくれるなら8500万円でいい』といったことも起こり得ます。
もちろん、『絶対に9500万円より下げない』と強気な業者もいますが、相場が下がってくれば、いずれ値下げせざるをえなくなります。つまり、これからは買い手市場になるため、値下げ交渉が効くようになっていくということです。半額になったりはしませんが、1億円の物件が9000万円になる時代に入りつつあります。交渉するのはタダですから、ダメ元で打診してみる価値はあります」
値引き交渉が効くのは中古だけではなく、新築でも交渉の余地はあるという。どういうケースが想定されるのか。
新築マンションが「値引き」されるケースは…
【プロフィール】
榊淳司(さかき・あつし)/1962年、京都市生まれ。榊マンション市場研究所主宰、不動産ジャーナリスト。年間500か所以上、新築マンションの建築現場を現地調査する。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)を監修したほか著書も多数。
取材・文/清水典之
