“終の棲家”の選び方で住まいにかかるお金は大きく変わる(写真:イメージマート)
人生の節々であらゆる「選択」を乗り越え、残るは悠々自適な老後生活……と、安心するのはまだ早い。60才を過ぎてからこそ、人生最後に先立つものを確保するためには、やり直しのきかない「二択」の問題がいくつもある。そのうちのひとつが「終の棲家」だ。
マイホームの正解は「持ち家」で「マンション」
「終の棲家」にかかるお金は「持ち家」か「賃貸」かで大きく変わる。子供の独立とともに住まいのダウンサイジングを考える人もいるが、60才以降にかかる総額を比べれば「持ち家」の方が有利との指摘もある。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんはこう語る。
「65才から90才までの25年間で比較すると、家賃月12万円の賃貸なら、更新料や引っ越し代(2回と仮定)を合わせて3829万円かかる試算になります。一方、持ち家ならローンがなければリフォーム代や修繕費などを合わせても平均787.5万円と、その差額は約3000万円にもなる。住宅ローン返済後は、持ち家の方が圧倒的にラクなのです」(黒田さん・以下同)
リフォーム費用は一戸建てよりマンションの方が少ない
もちろん、60才を過ぎた時点で賃貸に住んでいるのであれば、そのまま住み続けるか、サイズダウンした物件への引っ越しが現実的だ。「戸建て物件」よりも「マンション」の方が、金銭的な負担は少ない。
相続・終活コンサルタントの明石久美さんが言う。
「部分リフォームの平均費用は、戸建てでは471.6万円、マンションでは278.6万円と、大きな差があります」
戸建ての場合、築年数が増すと水回りや給湯器の交換だけでなく、大規模なリフォームも必要になる。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんはこう語る。
「外壁や屋根の修繕、浴室の断熱工事はそれぞれ100万~200万円はかかるため、高齢者が戸建てで安全に暮らすためには莫大なお金が必要になることも」(三原さん・以下同)
一方のマンションは、入居時から修繕積立金が徴収されていることが多く、個別のリフォームでまとまったお金がかかるケースは少ないのがメリットだ。