住まい・不動産

富裕層向けの賃貸マンションやホテルコンドミニアムが好調の陰でマンション専業デベロッパーが苦境 不動産価格の高騰が業者をも苦しめるカラクリ

 現在、ホテルコンドミニアムは北海道のニセコ(虻田郡倶知安町)・ルスツ(同郡留寿都村)・富良野(富良野市)、長野県の白馬(北安曇郡白馬村)、神奈川県の仙石原(足柄下郡箱根町)、三重県の伊勢志摩(伊勢市)、沖縄県の恩納村(国頭郡)などのスキーリゾート、景勝地、温泉地、ビーチリゾートに広がっています。

 北海道のニセコ中心部の比羅夫に2014年12月に開業した「木ニセコ」の ペントハウス4ベッドルーム(251.08平米)の中古価格は6億2000万円、坪単価816万円と、都内の超高額マンション並みです。

 同じくニセコで、2020年開業の高級ホテル「パークハイアットニセコHANAZONO」で分譲されたホテルコンドミニアムは72 平米、半露天風呂付客室が8000万円、メゾネットタイプが10億円、ゲレンデ直結タイプは14億円でした。近時の販売価格は2ベッドルーム(140平米)で3億6000万円、坪単価850万円です。

 富良野スキー場のゲレンデ前に2020年冬にオープンした「フェニックス富良野」は全33戸が販売開始3カ月で完売。購入客の多くは香港、オーストラリア、ベトナムなどの外国人富裕層でした。2022年に竣工した「フェニックスウエスト」の販売価格は145平米、3ベッドルーム(定員6名)で1億4500万円です。坪単価は480万円程度です。

 運用面を見てみましょう。通常はレンタルマネジメントプログラムが設定され、オーナーが利用した場合、完全無料のタイプと、水道・光熱費やリネンサービスを徴求されるタイプに分かれます。賃料は、客室収入のうち30~40%を賃料として還元されるもの、客室運用にともなう関連費用をすべて控除後の利益ベースで還元されるものがあります。どちらのケースも利回りとしては約2~3%程度が多いようです。

 高利回りではありませんが、会計上、減価償却費が計上できますし、何と言っても、好きな時に利用できるのが強みです。たとえばリゾート会員権は、1つの部屋を複数のオーナーで共有するため、希望日に利用できないこともありますが、ホテルコンドミニアムにはその心配がありません。私物を置くことはできませんが、オーナー専用のロッカーなどが装備され、日頃の清掃や建物管理はお任せですから、安心です。

 こうした使い勝手の良さや維持・管理に手間がかからないことから、日本人富裕層の間で投資をする人が増えてきていますが、欧米の投資家の間ではすでにポピュラーな投資対象になっています。

 デベロッパーにとっても、開発にともなう多額の投資金額をコンドミニアムやヴィラなどを併設して投資家に販売することで、資金の一部を早期に回収できるメリットがあります。言わば、互いにウィンウィンの関係が成立することで、ホテルコンドミニアムは急成長しているのです。

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