「中古マンション価格の上位と下位の区の顔ぶれはほとんど変わりませんが、中間の区では変動が起きます。ここ10年ほどで“西高東低”から“東高西低”に変わってきていると言われますが、子供の教育や災害対応、住みやすさから言えば、まだまだ西側に軍配が上がります。
私も子供を育てて初めて気がついたのですが、私立の中学・高校や大学の選択肢が西側のほうが多い。エリアによる教育水準の格差は確実に存在します。区ごとの大学進学率(所在する高校の進学率:令和5年度学校基本統計より)で比較すると、1位が渋谷区で82.1%、2位が目黒区で81.8%、3位が文京区で81.1%となり、この3区に千代田区、港区が続きます。お金持ちが住んでいる区ほど教育水準は高いのです」
マンション市場が“東高西低”に変わったのは、湾岸地域を中心にタワーマンションが建ち並び、それが平均価格を押し上げた面もあるという。
タワマン人気も”序列”に左右される
「地元の人が『あのエリアは埋め立て地じゃないか』と避けるエリアでも、地方から出てきた人は“海だった時代”を知らないのだから気にしないでしょう。だから、湾岸のタワマンを買っているのは地方から出てきたニューカマーが多い。もっとも、子供ができて初めて気づくことがあると思いますが、私自身も子供を育てて感じたのは、子育て期間はあっという間で、それほど気にしなくてもいいということです」
一般的に埋め立て地の場合、地震が起きた時の液状化や津波による水没のリスクが高いとされ、東京の西側の武蔵野台地に載っているエリアは、例外はあるものの、比較的、地震や水害などの災害にも強いとされる。気になるのなら西側でタワーマンションを買えばいいのだが、それほど話は単純ではない。
「大手デベロッパーが板橋区内に建てたタワマンが、夜に電気がポツポツとしかついていなくて、いつまで経っても売れていないと地元で話題になっています。板橋区も都内の序列では下位ですし、それにしては価格が高すぎると考えられているのかもしれません」
千代田区や港区など都心のマンションは手が届かない水準に高騰し、下位の区のマンションは売れ残りが出て将来の資産価値に疑問が残るというなか、23区のなかで中位に位置するのが品川区や大田区といったエリアに注目する選択肢がある。関連記事で詳しく解説している。
【プロフィール】
榊淳司(さかき・あつし)/1962年、京都市生まれ。榊マンション市場研究所主宰、早稲田大学オープンカレッジ講師、不動産ジャーナリスト。年間500か所以上、新築マンションの建築現場を現地調査し、資産価値評価のレポートを提供している。著書に『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)、『東京23区中古マンション価格の地図帳』(宝島社)などがある。
取材・文/清水典之