パワーカップルにとっても港区の高額物件は住宅ローンでの購入が難しくなっている(写真:イメージマート)
建築資材や人件費、地価の上昇を背景に、東京のマンション価格は高騰を続けている。なかでも港区は別格で、2026年1~5月にLIFULL HOME’Sに掲載された新築マンションの平均価格は2億5485万円に達した。住宅ローンで購入する実需層には手が届きにくい価格帯だが、それでも高額物件は売れている。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏によると、その買い手として存在感を増しているのが、国内の富裕層や海外投資家だ。いったいどのような人たちが買い、市場を動かしているのか。金利と株価の関係も踏まえながら、榊氏が“港区バブル”の構造を読み解く。
2億円超マンションの買い手は“謎の富裕層”
「物件価格が2億円を超えてくると、世帯年収の7倍を購入価格の目安としても、約2900万円の年収が必要になります。夫婦ともに大企業に勤めるパワーカップルでも、かなり購入が難しくなるでしょう。住宅ローンを利用して購入できる層もかなり限られてきます。ですから、実際に住み、毎月の給与から住宅ローンを返済していく実需層には、なかなか手が届かない価格帯になります。
その代わりに、株でボロ儲けした人や、地方のオーナー企業の創業者、先祖代々の莫大な資産を相続している資産家など、一括りにはできませんが、とにかくお金を持っている“謎の富裕層”や、中国系の外国人投資家が“現金一括”で買っていく。港区の高額物件は、資産価値が下がりにくいと考える国内外の富裕層に、資産の保全先として買われているのです」(以下、「」内コメントは榊氏)
都心3区の高額マンションは「金利」より「株価」で動く
港区など都心部の高額マンションは、住宅ローンを利用する実需層とは異なる層が主な買い手となるため、年収や住宅ローンの借入上限の影響を受けにくいという。一方、日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度に引き上げており、住宅ローンを利用する実需層にとっては、金利上昇の影響も無視できない。
【プロフィール】
榊淳司(さかき・あつし)/1962年、京都市生まれ。榊マンション市場研究所主宰、不動産ジャーナリスト。年間500か所以上、新築マンションの建築現場を現地調査する。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)を監修したほか著書も多数。
取材・文/清水典之
