資産家のなかには、華やかさよりも落ち着いた住環境やプライバシーを重視する層もいる(写真:イメージマート)
東京23区のマンション市場で、“最高峰”のイメージを持つ「港区」。2025年の中古マンション価格は70平米換算で2億1172万円とされ、高騰が続いてきた。超高額タワマンが林立し、富裕層の街という印象も強いが、『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)の監修者で、不動産ジャーナリストの榊淳司氏は「本当の意味で一番高いのは千代田区」と指摘する。榊氏が“本物の富裕層”が住む街として挙げるのは、千代田区の番町や渋谷区の松濤だ。さらに、華やかな港区を好むイメージのある芸能人も、超一流になるほどタワマンを避け、低層マンションを選ぶケースがあるという。富裕層の住まい選びから見える「港区ブランド」の意外な一面を榊氏が解説する。
“本物の富裕層”が住む「番町」「松濤」
「港区の青山、表参道が超高級住宅地であるのは事実ですが、本当の意味で一番高いのは千代田区です。都心の中心部で官公庁などが多く、そもそも住宅の数が限られているうえ、売り物件もなかなか出てきません。そのため、市場に出てくる物件だけでは、その価値を測りにくい面があります。先祖代々の莫大な資産を相続しているような“本物の富裕層”が住んでいるのは、千代田区の番町や渋谷区の松濤です。
こうした昔からの高級住宅地には、港区とはまた異なる富裕層が住んでいるという印象があります。番町や松濤では、売却すること自体を公にしたくない売り主もいて、クローズドな形で取引され、市場に情報が出てこないケースも少なくありません」(以下、「」内コメントは榊氏)
つまり、市場に出れば非常に高額になるとみられる物件でも、そもそも売りに出される機会が少なく、一般に公開される取引データだけではその価値を捉えにくいということだ。
【プロフィール】
榊淳司(さかき・あつし)/1962年、京都市生まれ。榊マンション市場研究所主宰、不動産ジャーナリスト。年間500か所以上、新築マンションの建築現場を現地調査する。『東京23区中古マンション格差の地図帳』(宝島社)を監修したほか著書も多数。
取材・文/清水典之
