住まい・不動産

「ある日、天井から大量の下水が降ってきて…」賃貸トラブル8か月の攻防、損害賠償を求めて大家とどう交渉すべきか

最初に気がついたのは2022年6月で…(イラスト/ハセジュン)

最初に気がついたのは2022年6月で…(イラスト/ハセジュン)

ハセジュン:私の場合、何が証拠になりますか?

太田垣さん:たとえば、最初にカビに気がついたのはいつなのか。そのとき大家とどんな話をしたのか、正確に記録して残しておく必要があります。最初に大家に報告したとき、口頭だけで済まさず、メールや文書などで改めて伝え、形として残しておくとよかったですね。言った言わないは何の意味もありませんから、文書に残すことはとても大切です。それと、水が降ってきたときや水が壁を伝っているときなどのリアルな動画を撮っておけば、裁判時に有効です。また、健康被害が出ているなら、診断書をもらうこと。アレルゲン検査をして、その原因が黒カビであるとわかれば因果関係を証明できますよね。治療費にかかわる領収書も取っておくべきです。

ハセジュン:カビがひどい部分の室内写真は何枚か撮ったのですが、大家に伝えたときは口頭だけで、文書に残していません。それと、汚水やカビがついたバッグや服も、気持ちが悪いので捨ててしまって……。

太田垣さん:捨てるにしても写真を撮っておくとよかったですね。服は、捨てる前にクリーニングに出したなら、そのクリーニング代も請求できましたよ。部屋の写真も、寄ったアングルや引いたアングルなど何十枚も撮っておいた方が、証拠能力は上がります。

話し合うべきは保険会社でなく大家

ハセジュン:記録に残していなかったのが悔やまれる~。大家とは一度、カビで汚れたものの賠償や、健康被害について去年の11月頃に話したのですが、「私ではなくマンションの保険会社と交渉してください」と言われたんです。で、保険会社が言うには、「引っ越し代金は出るが、それ以外は一切補償されない」と。特にアルバムなどは、金銭的価値が定められないからって……。だから、その時点で諦めていろいろ捨てちゃったんですよね。

太田垣さん:まず、話し合うべき相手は保険会社ではなく大家です。たとえ保険での支払い上、引っ越し代金以外出ない、ということになっていても、裁判で“これは大家が悪い”と判断されれば、保険対象外の支払い請求が認められることもあります。今回の場合、カビの発生を7月に伝えていたのに11月まで改善されておらず、なぜ4か月も放置していたのか、という話になりますよね。民法上では、賃貸物件の賃借人がストレスなく正常に暮らせるように、オーナーが修繕・改善することが義務になっています。となれば、これは明らかに大家に非がある。だとしたら、本来は大家に損害請求できるんです。

〈ハセジュンが請求できたのは、引っ越し代、仲介手数料など引っ越しにかかるすべての初期費用、カビで汚染されたバッグ・服などの損害賠償金、治療費などで、場合によっては、アルバムなど大切なものを破壊されたことによる慰謝料も請求できたはずだ〉

ハセジュン:それまで、大家とはいい関係を築いていたので、直接言いづらいということもあって……。それでもやっぱり、“訴える気もある”という強気な話し合いをすべきだったんですね。

太田垣さん:相手によりますが、力で押さない方がいい場合もあります。たとえば私なら、「7月にちゃんと対応してくれていたら、自分たちは引っ越さなくても済んだし、健康被害にもあわなくて済んだと思うんです。こちらの非ではないのに引っ越しを余儀なくされ、その費用を負担するのは納得できないのですが……。とはいえ、いままでお世話になった大家さんと裁判はしたくない、とは思っているんです……」という言い方をしますね。

〈大家に直接言いにくい場合、管理会社と話し合うのも手だという。管理会社が入っているかは、契約書に記載があるので確認してみよう〉

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