住まい・不動産

笑福亭鶴瓶も悲鳴 住んでみないとわからない「終の棲家にタワマン」の落とし穴

終の棲家にタワーマンションを選ぶ人も少なくないという(イメージ。時事通信フォト)

終の棲家にタワーマンションを選ぶ人も少なくないという(イメージ。時事通信フォト)

救急搬送が間に合わない

 昨年タワマンに引っ越した佐藤千鶴さん(仮名・60代)がつぶやく。

「戸建てに住んでいたときは、毎日の散歩が日課でした。でも、ここではエレベーターがいくつものフロアで止まるので、マンションの外に出るまでに時間がかかって仕方ない。面倒で、外出が減りました。近所の人と接することもなく、家にこもってテレビばかり見る毎日です」

 住宅ジャーナリストの榊淳司さんが指摘する。

「タワマンは戸建てと比べて気軽に家の外に出にくい。結果的に運動不足となり、足腰が弱くなるおそれがあります。また、外出しないと近隣住民とのコミュニケーションが少なくなり、孤立してしまう。そういった生活が続けば、最悪の場合、孤独死につながりかねません」

 佐藤さんの話にあるように、タワマンはエレベーターで下りる際に時間がかかる。となると、急病の際も気がかりだ。

「救急車を呼んでからストレッチャーが到着するまで、さらに、病人の搬送までにも時間がかかる。病院到着まで、戸建てより5~10分ほど余計にかかると予想されます。脳梗塞など一分一秒が生死を分けるような病気の場合は、処置が間に合わないリスクもあります」(榊さん)

火災が起きても避難ができない

 災害時も危機と隣り合わせだ。榊さんによれば、地震に関しては「タワマンは震度7でも壊れないよう設計されているので、大地震で倒壊することはないと思っていい」という。問題は、発生後だ。

「エレベーターが止まったうえに、水道などのインフラが止まったり、備蓄が底をついたりするとかなり厄介です。高齢者が階段を使って、高層階までポリタンクや大量の備蓄品を運ぶのは現実的ではありません。実質、救援なしでタワマンに閉じ込められるようなものです」(榊さん)

 ちなみに東京都の被害想定報告書によると、首都直下型地震の直後は都内2万2000基のエレベーターが一斉に停止する可能性があるという。

 火事にも注意が必要だ。今年6月、東京・品川の44階建てタワマンで18階のベランダから出火し、約400人の住人が避難した。その際、18階以上のエレベーターは動いていなかったという。39階に住む高齢住人の「廊下にまで煙のにおいが来ていましたが、年を取っているし、犬も飼っているので、避難をあきらめました」という言葉は世間を震撼させた。

 水害の被害はさらに甚大だ。

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